こんにちは、ボストロールです。今回は法人化するデメリットについて記載していきます。

1ー法人設立と設立後の手続きが大変

 個人事業の開業は、開業届という書類を出せばよいだけだったことを考えると、法人の設立は非常に手間暇がかかると言えます。まず、法務局に会社の誕生を届け出る「設立登記」。コレが大変で、そもそも登記できる住所を探さな
ければなりません。ご自宅が賃貸物件の場合、居住用で契約している自宅住所では大家さんの許可がとれず登記ができないことも多く、シェアオフィスなどを探すケースもしばしば。
 また、法人名義の銀行口座を作るのも一苦労です。特殊詐欺などに悪用されることを防止する観点から、金融機関における法人口座開設の審査が年々厳しくなっているためです。
その上、役員報酬をいくらにするかを決めたり、社会保険の加入の手続きをしたりといろいろやらなければならないことも増えます。
 税務申告も、個人の確定申告よりも複雑になります。法人の税務申告用の市販ソフトはありますが、専門家向けのものが多いため、自力で申告する手間と労力を考えれば、お金を払って税理士など専門家に依頼するのが現実的かもしれません。

2—設立登記や変更登記に結構費用がかかる

 法人設立には、法務局での登記が必要になるため、その準備を含めて費用が発生します。
その上、法人の場合、登記事項(法人名、法人住所、事業の目的、役員住所など)に変更があれば、変更登記が必要になり、その都度費用が発生します。
 また、役員の任期が切れると、同じ人物が継続する場合でも重任という形で再度登記の続きが必要になります。
シェアオフイスなどを法人の登記住所にする場合、シェアオフイスの閉鎖移転などの都合で場所を移す必要性が意外と出てきますので、ご留意ください。

3—赤字でも法人住民税はかかる

 個人の場合、住民税均等割額はほとんどの自治体で年間5千円程度なのに対し(非課税の場合もあります)、法人ですと、資本金の額に応じて、最低でも年間7万円ほどかかります(自治体により若千異なります)。
この均等割額は法人が存続する限り納税する義務があり、例えばある年に赤字決算になったとしても、この法人住民税の均等割額だけは必ずかかります。
もし何らかの事情で赤字が続いた場合、この負担は毎年じわじわと経営を圧迫することになります。
 なお、法人ならではの特例として、(青色申告の場合)赤字額を繰り越せる期間が長い(9年)というのがあります。例えばある年に巨額の赤字を出してしまった場合、翌年以降の黒字と相殺できる期間が個人(3年)に比べて長いです“則々の制度ですが、これを考えると、赤字でも免除されずに毎年発生する均等割も少しは我慢できますかね……
役員報酬は1年に1度しか変更できない

 法人の役員報酬は経費に算入されるため、利益が出たから期末に増額して支払う一のは実質的に利益操作になってしまいます。そのため、役員報酬には税務上厳格なルールがあります。
役員報酬は、毎月同じ時期に一定額を支払う(定期同額給与)ことになっています。また、役員には貨与は基本的に支払えません(事前に支払時期と支払額を税務署に届け出てその通りに支給する場合に限り認められます)。
もちろん、永久に変えられないわけではなく、事業年度開始後3カ月以内に株主総会を開いて役員報酬の変更について決議を行えば変更できます。ここでの変更前と変更後はそれぞれ、定期同額給与としてみなされます。

5ー社会保険に加入しないといけない

 一人法人でも社会保険は強制加入です。マイナンバー制度の影響もあって、給与は支払っているけれど社会保険には未加入である法人が発見されやすくなり、取り締まりは近年厳しくなっています。年金事務所などから、加入についての案内が少し怖い感じで届き、差し押えやら、過去に遡って払ってもらうなどの文言が記載されています。
 一般的な社員などの給与については、社会保険加入のための一定要件(勤務時間など)がありますが、役員報酬の場合は(非常勤役員でなければ)原則加入です。家族を有給の常勤役員にしている場合でも、当然加入になります。
 現行の制度では、厚生年金はの歳になるまで、健康保険は石歳になるまで支払います。国民年金の方の支払いは原則的歳までですから、この負担は法人化の検討において、長期的なスパンで考えるとかなり重要といえるでしょう。

6—会社の運営のルールが増える

 株式会社で出資を募っている場合は特にルールが増えます

 個人事業主の意思決定は自由ですが、法人になると一人会社であっても別人格。ルールに基づいて手続きを進めたり、書類として記録を残したりする場面が増えます。
 特に、株式会社はあとで説明するように運営ルールが厳しく、重要な事項は株主総会での決議が必要になります。たとえば毎期、決算を確定させることや、役員報酬を改定することに関しても株主総会や取締役会の決議が必要です。株主”役員1代表者が同一で1人の場合、全部1人で開催という流れにはなりますが、それでも形式的には書面で準備をして保存しておく必要があります。
 また、株主(出資者)の中に代表者以外の方がいる場合は、正式には事前に株主総会の案内を送ったり、参加できない方については委任状を回収したりしなくてはいけません。この手続きの願わしさはデメリットといえるでしょう。

7ープライベートとの境が厳しい

 個人事業主は、事業用の資金とプライベートの資金の境目が曖昧で、たとえば事業用に使っている預金通帳やクレジットカードで時々プライベートな収入や出金があっても「事業主借」や「事業主貸」という科目を使って仕訳すれば許されました。それに対し、法人では会社の資金を私的に使えば経済的利益の供与になります。
 また、法人の場合、支払総額のうちの一部を事業経費にするという家事按分の考え方はありませんので、会社の資金でプライベートのものを買うことはできません“実務的には、もしプライベートな支出があった場合、役員が立て替
えた経費などがあればそれと相殺、なければ役員貸付金などで処理しますが、役員貸付金については、一定の利息を付加する必要があります。
長い間摘算しなければ、経済的利益の供与として役員報酬とされてしまい、

 その結果、好ページでご説明した「定期同額給与」が崩れることになります。
そのため、法人の経費に入れられず法人税が増え、同時に所得税も増加と
いう事態になりかねません。